二宮隆雄

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『風と武平次(ぶへいじ)』

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(一)
「五島の冬シビ(マグロ)をはこんでやる」

それが紀州漁師の武平次がとりつかれた途方もない夢だった。

武平次の生まれた紀州矢口村(現三重県海山町)は、ゆたかな黒潮がながれる熊野九十九浦のひとつである。物心ついたころから海にでていた武平次は、三十一歳のとき徳川幕法にすさまじい憎しみをいだいた。

それは北前船の「遭難」が原因だった。

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『幕末いろは丸』

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(一)

慶応三年(一八六七)四月十九日。長崎から大阪にむけて出帆したいろは丸は、夜の瀬戸内海を慎重に航海していた。

 

「あれは船の航海燈か」

海援隊士の佐柳高次は闇の海に目をほそめた。

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『無人島(ぶじんとう) 異聞』

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(一)

文久二年(一八六二)二月。その頃まで無人島と呼ばれた小笠原群島の父島の海岸を、二人の侍が上半身裸で歩いていく。

波打ちぎわの砂は白く、海水は海底がはっきりと見えるほどに澄みわたり、雲ひとつない青空には、二月と思えない夏のような太陽が輝いている。

前を歩く幕府外国奉行方同心・松浪権之丞がいった。

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『国崎のお万(くざきのおまん)』

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[一]

志摩国崎の海女にしては小柄なお万は、出漁の朝はかかさずに、海が見える〈海士潜女神社〉に両手をあわせ、御神酒を供える海の習いを持っていた。お万は色は黒いが端正な顔の眉は濃く、引き締まった口元は、気の強さを感じさせるが、笑うと白い八重歯がこぼれ落ちて、二十九歳の色気が漂った。

お万が海女漁に出るとき、白いイソナカネという腰巻の上は素裸で、黒い乳首をもった乳房が、大きく張り出している。

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『マンボウの海』

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アフリカ大陸とオ―ストラリア間にひろがるインド洋は、赤道に近づけば軽風海域もあるが、南緯三、四十度の海は荒れることが多い。

インド洋の孤島・アムステルダム島近海を帆走中の世界一周レ―スのヨット「イ―グル号」から落水した瞬間、井留間学の脳裏をケイプタウンの赤茶けた岩山がよぎった。それは最後に目にした陸地の光景である。

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ひとことニュース

200年の二宮杯が風光明媚なことで有名な南伊勢にておこなわれました。

日本のトップクラスのマッチレーサー達が集った大会の結果はこちら